Gibson(ギブソン)ってどんなブランド?
Gibson(ギブソン)はアメリカを代表する、楽器メーカー。Fender社と並び、ギタープレイヤーの方であれば、一度は憧れを持つ世界最大手のギターブランドでもあります。
エレキギターを想像して、思い浮かぶデザインを考えたことがあるでしょうか?私はエレキギターと言えばフェンダーのストラトキャスターかギブソンのレスポールの形がぱっと頭に浮かびます。
ギターを弾いたことがない方でも『あ、なんか見たことある!』といった風に、エレキギターとして不動の地位を確立したモデル、ブランドでもあります。
今回は、今現存するエレキギターのパイオニアともいえるメーカー、Gibsonの紹介をしたいと思います。
ルーツ
ギターの製造が有名ですが、元々のルーツはオーヴィル・ヘンリー・ギブソン(Orville Henry Gibson)が1894年にマンドリン製作を始めたことから始まり、1902年にGibson社が設立される事となります。
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Gibsonのギターは今も変わらぬ形のまま、日々最先端の技術を取り入れて販売されています。
大別
ギブソン社の製品はエレキギター、アコースティックギター、セミアコ、フルアコ、エレキベース等の流通が多く、今現在では、Gibson USA、Gibson Custom Shop、Gibson Memphis等に分かれています。



機種ラインナップ
Gibson社のエレキギターは仕様やパーツの違いで同じモデルでも数多くのバリエーションがあります。代表的なラインナップをいくつか紹介します。
LesPaul(レスポール)


レスポールの中でも種類分けがあり、STANDARDやCUSTOM、TRADITIONALやDELUXE等のラインナップやアーティストモデル等があります。日本ではB’zの松本孝弘の使用が有名。
SG(エスジー)

1961年それまでのレスポールに変わり、新しいレスポールモデルとして発売されました。ちなみにSGはSolidGuitarの略。アンガスヤングやトニーアイオミの使用が有名。
Flying V(フライング ヴイ)

オリジナル58年FlyingVは、なんと世界でたった98本しか製造されていません。67年型のFlyingVをジミヘンドリックスが使用したことで有名。
Exproler(エクスプローラー)

当時Flying Vと並んで作られたモデル、こちらも当時奇抜なデザインが受け入れられず、オリジナルの製造はなんと22本に留まったと言われています。メタリカのジェイムスヘッドフィールドの使用が有名。
ES-335等のセミアコ

センターブロックを持つホロウ構造のエレキギター。ラリーカールトンの使用が有名。
ES-175、L5CES等のフルアコ

センターブロックを持たない、ホロウ構造のエレキギター。ジャズでの使用が有名で、ES-175やSUPER400、L5等を数多くのアーティストが使用しています。
J-45やHumming Bird等のアコースティックギター

アコースティックではMartin社と並び使用しているアーティストも多いです。日本のフォーク世代の方では吉田拓郎の使用が有名で、最近ではMIYAVIも使用しています。
代表的な使用アーティスト
ギブソンの中で最も有名なエレキギター、レスポールに焦点を当てて紹介していきます。ギブソンのレスポールには、ギブソン・レスポール“シグネチュア・アーティスト”というギブソン公認のレスポール使用アーティストがいます。
ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン) 、ジョー・ペリー(エアロスミス)、エース・フレーリー(KISS)、スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)、松本孝弘(B’z)、ザック・ワイルド、ゲイリー・ムーア

中でも、B’zの松本孝弘は1999年6月、世界で5人目、アジア人初のギブソン・レスポール“シグネチュア・アーティスト”に選ばれたことが話題になりました。

今現在のギブソンのエレキギターに至るまでの歴史
ギブソンのエレキギターを語る上で、ギブソン史上、製作された数多くのギターや人物が鍵となって現在のエレキギターに至っています。時代背景や、代表的な製品ラインナップから、ギブソンの歴史について紹介していきます。
初のfホールギター
当時ギブソンはカービングマシンによるアーチトップの技術を活かし、フルアコースティックのアーチトップギターの製作が有名でした。1922年、初めてfホールがついたギターである、ロイドロアーが設計したL5が有名です。

初のピックアップ搭載モデル
その後、1936年に初めてピックアップ(チャーリークリスチャンPU)が搭載されたES150が流通します。エレキギターの元祖はこの辺りから始まります。
1940年代、ウォルター・フラーによってP-90ピックアップが開発され、当時のギターに載せられるようになります。

ソリッドへの着目
1940年代前半、フルアコが主流だった当時、ジャズギタリストであったレス・ポールがソリッドに着目、試作品であるザ・ログを作りギブソンへ持ち込みましたが、一度ギブソン社から一蹴されてしまいます。

レスポールモデル誕生
1948年にテッド・マッカーティがギブソンに入社、ギブソンがフェンダーのストラトキャスターに対抗するために、レス・ポールとソリッドギター開発に取り組み、1952年にギブソン社初のソリッドエレキギター、レスポールモデルを発表する。

ゴールドトップ
高級感のある色=ゴールドというレスポール氏の要望でレスポールは基本ゴールドトップが採用され、ゴールドトップ、トラピーズテイルピース、P-90、という仕様でつくられました。また、当時はジャズギターとして世の中に出たのがレスポールでした。
その後、数々の仕様変更がなされることになります。
1952年のレスポールモデルに搭載されていたトラピーズテールピースではブリッジミュートが出来ないことから、1953年にレスポールのブリッジが当時のギブソン社の社長であったテッド・マッカーティ考案のストップバーテールピースに変更される。

54年にP-90の上位機種モデルP-480アルニコVピックアップが開発され、当時のレスポールの上位機種であるレスポールカスタムやアーチトップのL5CES等に搭載される。また1953年に搭載されたストップバーテールピースだと、オクターブピッチの問題が出てくるため、チューンO(オー)マチックブリッジが開発される。

チューンOマチックブリッジは当時のレスポールの上位機種、レスポールカスタムで1954年に先立って採用されました。
その当時のレスポールカスタムはオールマホガニーであったが、本当はトップにメイプルが使用されるはずでした。カスタムは塗りつぶしの黒である為、工場出荷の段階で気付かないまま世に出回わったとの逸話があります。
1955年、56年頃からマイナーチェンジで通常のレスポールにもチューンOマチックが搭載されるようになります。
1957年、P-90の音のままハムノイズが出ない仕組みのピックアップである、ハムバッカーがセス・ラヴァーによって開発される。通称P.A.F(P.A.Fとは『Patent Aplied For』の略。特許出願中の略で正式名称はP-490といいます)

ゴールドトップからサンバーストへ
1958年から1960年まではそれまでのゴールドトップに変わり、サンバーストのカラーに変更されました。通称BURST。
今現在
数多くのメーカーからエレキギターが販売されていますが、多くのギブソンのコピーモデルをはじめ、当時のギブソンのエレキギターの仕様にインスパイアされたモデルが数多く販売されています。こうして今から50年以上も前に、現在の様な仕様が既に確立された仕様が今日のレスポール以外の様々なエレキギターにも仕様が受け継がれて現在に至っています。
ギブソンの魅力、サウンドの要とは?
ギブソンのギター(主にエレキギター)の人気機種において一貫して共通している特徴があります。
まずはボディ材にマホガニーを使用している点。レスポール(レスポールはトップがメイプル貼り)をはじめSG、フライングV、エクスプローラー等、著名なアーティストが使用しているギターはマホガニー材が主になっているものばかり。
マホガニーはローの温かみや音の甘さ、軽めのマホガニーに関してはハイミッドの抜け感の良さ等もあり、全体的な音のバランスもよく、ギターに最適な材であると思います。
ギブソン特有の音の甘さといった点で、もう一つ外せない要素はネックです。
ギブソンのギターにはネック(ナット)からブリッジまでの弦長が約628mm(24/3/4inch)の長さのものが主に採用されています。ミディアムスケールまたはギブソンスケールなどと呼ばれ前述のレスポールをはじめ殆どのモデルにこのスケールが採用されています。※一部モデルは例外もあります。
ミディアムスケールの比較対象としてはフェンダーが採用しているロングスケール(648mm 25/1/2inch)がありますが明確な違いは弦の張りの強さとそのサウンドにあります。
ミディアムスケールは弦長が短い分、ロングスケールと比べると弦の張りが弱くなるため、弦振動の振れ幅が大きく歪みやすくなります。アンプやエフェクターのセッティングでオーバードライブ、ディストーションのセッティングにした際の心地よい歪感を感じられるのはミディアムスケールである恩恵は大きく、ギブソンギターにおいてサウンドの特徴として重要な要素になっています。
あと一点ギブソンのギターにおいて特徴になっているのは塗装です。ギブソンのギターはほぼ全ての機種に”ニトロセルロースラッカー”が採用されています。所謂ラッカー塗装です。
楽器に適した手に馴染む塗装ではありますが、経年変化しやすい塗料の為、年数の経ったビンテージなどになると、ウェザーチェック(塗装の割れ)等がびっしり入った個体も見られます。伝統的な塗装方法でものすごく手間が掛かりますが、塗膜の薄く仕上げることができ、塗膜も柔らかいことからギター本体の木材本来の鳴りの良さを存分に活かせる塗装方法だと言えます。ポリ塗装などの塗膜の硬いものは、ギターを弾いた時のボディの振動が塗膜に反射して硬い音になりますが、塗装の違いによる音の違いは大きく、ラッカー塗装であることはギブソン特有の音の甘さといった所にも影響を与えていると思います。