Steinberger Sound Corporationとは
アメリカ合衆国テネシー州ナッシュビルの楽器メーカー。最小限に抑えられたボディサイズとヘッドレスの構造による独特なデザインの楽器が特徴です。
今でこそ一般的に普及しているヘッドレス構造ですが、Steinbergerによって初めて世に送り出された当時は非常に斬新なアイディアでした。その独特なデザインもさることながら、楽器としての実用性も高く評価されており、愛用者が数多くいる人気ブランドです。
歴史
創業者はNed Steinberger氏。Ned氏は元々は業務用家具のデザイナーでしたが、ベースギター職人のStuart Spector(スチュアート・スペクター)氏との出会いにより、電気楽器のデザインに強い興味を持つようになります。
1980年にSteinberger Sound Corporation(以下Steinberger社)を設立。
Ned氏は「電気楽器における大きなボディとヘッドの必要性」という部分に着目。既存の楽器においてそれらは当たり前に存在する要素でありましたが、Ned氏はそれに対して疑問を抱いたのです。
そうした着目から、後に誰もが"Steinberger"というブランドネームでイメージする独特なシェイプの楽器を生み出したのです。前述の通り、ボディサイズを最小限に抑え、そしてヘッドを完全に取り払った構造のギターが誕生しました。
その後Ned氏は自身がデザインする楽器の開発に専念するべく新たなブランド「NS DESIGN」を立ち上げるための活動を開始。
1987年にSteinberger社は売却され、Gibson社の傘下となります。Gibson社の傘下となった後、暫くしてから一旦生産が打ち切られる状態となりました。
2000年代に入り製品のラインナップが大幅に整理され、生産拠点も韓国へと移りました。廉価版機種の生産も開始されることとなりました。
主な製品
現在は大幅に製品ラインナップが縮小され、大きく分けて以下の2つのシリーズがメインになります。
GT-PROシリーズ


XT-2シリーズ


エレキベースの4弦モデルと5弦モデル。その他それぞれの廉価版に当たるSpilitシリーズも展開。
特徴
前述の通りヘッドレスが最大の特徴と言えるでしょう。
弦は専用のダブルボールエンド弦を使用し、ナットとブリッジの駒に引っ掛ける形で張られます。従来のギター及びベースとは違い、引っ張ることでチューニングをする構造になっています。
そのためペグの巻きムラが起こらず、チューニングの狂いが発生し辛いという特性を得ました。
ボディが小さいことで全体として小型な楽器に仕上がっていますが、スケール自体はレギュラーで基本的に弾き心地が通常のギターと大きく変わることはありません。
主な使用ミュージシャン
Allan Holdsworth(アラン・ホールズワース)

プログレッシヴ・ロックの色を強く感じる非常に個性的なジャズ・フュージョン系ギタリスト。
大きな手と長い指を活用した、専売特許とも言われるワイドストレッチとレガートを追及した演奏が特徴的なプレイヤーです。
一時期はSteinbergerをメインで愛用しており、小振りなギターを巨大な手が縦横無尽に駆け回る様子が印象的でした。
使用ギターは自身のシグネチャーモデルであるGL2T。本人の意向により低出力のハムバッカーピックアップを使用したモデルです。
- John Lennon(ジョン・レノン)
- Andy Summers(アンディ・サマーズ)
- Mark Knopfler(マーク・ノップラー)
- Steve Howe(スティーヴ・ハウ)
- モト冬樹
- ムッシュかまやつ
- その他多数
余談
Gibson社の傘下となった後に製品ラインナップが大幅に整理されることとなりましたが、それにより整理前のオリジナル製品のサポートが受けられないという問題が発生しているようです。
パーツも純正品を手に入れるのは極めて困難とのことで、現在中古市場ではオリジナルSteinbergerの値段は高騰傾向にあるようです。